薪ストーブをこれから設置しようと考えている人が一番心配している事は「火災」ではないでしょうか?
実は、薪ストーブの火災の原因は一つではありません。
今回は、薪ストーブが原因の火災の中で皆さんがあまり聞き慣れない「低温火災」について紹介します。
この「低温火災」を防ぐ為にも、薪ストーブ設置する前に知っておいて欲しいです。
次に薪ストーブによる主な火災の原因をまとめました。
薪ストーブによる主な火災の種類
低温火災
木材等が100℃程度の低温でも長時間熱にさらされる事で乾燥が進み、炭化する事を低温炭化と言います。
この低温炭化した木材等が熱を蓄積して発火する火災。
目に見えない壁内部の柱や梁が炭化する場合があり、発火しても気付くのに遅れる事がある。
煙道火災
薪ストーブが燃えることで煙に含まれる煤(すす)やクレオソート等が煙突内部に蓄積し、クレーソートに引火して起こる火災。
煙道火災を引き起こさない為には、よく乾燥した薪を使用し、煙突の点検と清掃を行う。
煙道火災については過去の記事で紹介しているので、こちらの記事をご覧ください
取灰による火災
灰の中の燃え残った炭が可燃物に引火する事で起こる火災。
灰は蓋が付いた専用の金属製バケツに入れて、不燃性の床に48時間以上置いてから、処理をする。
火の粉の飛散による火災
着火時や薪を追加する時等、薪ストーブのドアを開けた際に火の粉が飛び燃えやすいものに引火して起こる火災。
リビングに設置する場合は、炉台があっても火の粉が飛び越える可能性があるので、注意してください
それを防ぐ為に「ハースラグ」を敷くと良いですね
低温火災の原因
低温火災の原因は薪ストーブ周辺の木材等の「低温炭化」です。
実は、この「低温炭化」を引き起こしやすい薪ストーブの暖房方式があります。
薪ストーブの主な暖房方式
薪ストーブには、大きく分けると2つの暖房方式があります。
- 対流式
- 輻射式
対流式の薪ストーブは薪ストーブに空気が通る空間があり、暖められた空気が対流を起こして、部屋全体を暖めます。
薪ストーブ自体は高温にならないので、火傷のリスクは低いですが料理は苦手です。
輻射式の薪ストーブは本体が熱くなり、遠赤外線効果により人や家を暖めてくれてます。
「陽だまりのような暖かさ」とよく言われます。
輻射式の薪ストーブが定番ですね
僕の家も輻射式です
対流式に比べて輻射式の薪ストーブは本体が高温になるので、「低温炭化」が起こる可能性が高くなります。
その結果、低温火災につながり易くなります。
低温炭化を防ぐ為には
低温炭化を起こさない為には、いくつかポイントがあります。
- 薪ストーブの周りに可燃物を置かない
- 炉台、炉壁を設置する
- 煙突は断熱二重管にし、スライド煙突等のシングル管にはヒートシールドを設置する
薪ストーブの周りに可燃物を置かない
これは基本的な事ですが、薪ストーブ本体は大変熱くなり、また火の粉等も飛びやすいので燃えやすいものは近くに置かないようにしましょう。
炉台、炉壁を設置する
薪ストーブは壁から1m以上離して設置しなければいけません。
しかしそれが難しい場合は、炉台や炉壁を設置します。
薪ストーブは炉壁から30cm以上離して設置し、炉壁と壁は3cm以上離して空気層を作る事で低温炭化を防ぎます。
煙突は断熱二重管にし、スライド煙突等のシングル管にはヒートシールドを設置する
断熱二重管であれば、通常の焚き方であれば、煙突表面の温度は60℃程度なので、木材の低温炭化には至りません。
ちなみに木材は80℃前後の環境に置き続けた時に低温炭化し、発火する可能性が高くなります。
シングル管にはヒートシールドを設置して低温炭化を防ぎます。
まとめ
今回は薪ストーブによる火災の中でも、「低温火災」について紹介しました。
低温火災対策は薪ストーブを計画する段階で知っておかなければいけないことです。
薪ストーブの設置は信頼できる施工会社に依頼し、費用は掛かりますが、必要な安全対策をして薪ストーブを使用しましょう。
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